2006 Fiscal Year Annual Research Report
超微細複合混粒組織鋼の作製と強度-延性バランスの向上
Project/Area Number |
18760533
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
土田 紀之 兵庫県立大学, 大学院工学研究科, 講師 (90382259)
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Keywords | 強度 / 構造材料 |
Research Abstract |
本研究では,¢高強度かつ強度-延性バランスの優れた鉄鋼材料£作製の試みとして,¢結晶粒微細強化£,¢複合組織化£,¢混粒化£の3つの強化機構を組み合わせた鉄鋼材料を作製し,その機械的特性について検討を行っている.ここでは,目的とする試料作製の手段として¢粉末£を用い,結晶粒径が2μm以下の超微細粒を持つ複合組織鋼の作製を試みている. これまでに,化学組成の異なる2種類の粉末を用い,これらを混合,固化成形,熱処理することによって試料の作製を行った.数回にわたる予備実験を経て,目的の超微細複合組織鋼の作製を可能とした.得られた試料の組織は,結晶粒径が約1.5μmのフェライト組織とパーライト組織からなる,¢フェライトパーライト鋼£である.本実験における試料作製方法の特徴は,2種類の粉末の混合にあり,フェライトとパーライトそれぞれの体積率は粉末の割合を変えることにより制御可能であることも明らかとなった. このようにして得られた¢超微細フェライト-パーライト鋼£は,機械的試験として静的引張試験を行った.その引張特性は,微細結晶粒を持つフェライトの効果により高強度が達成され,パーライトの効果により延性も確保できていることがわかった.これまでに計算により示されていた結果を,実験により明らかにすることができた.今後,フェライト組織とパーライト組織の体積率の割合やフェライト結晶粒径の影響を調べるとともに,組織制御によりフェライト・マルテンサイト鋼も作製可能であるため,この点について明らかにする予定である.さらに,機械的試験として静的引張試験だけでなく高速変形挙動を見据えた高速引張試験も行う計画である.
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