2006 Fiscal Year Annual Research Report
高窒素含有粒界相の形成による超耐熱窒化ケイ素セラミックスの開発
Project/Area Number |
18760535
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
末廣 隆之 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (20421406)
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Keywords | 窒化物 / 希土類 / 窒化ケイ素 / 状態図 / 構造材料 / 耐熱材料 / セラミックス |
Research Abstract |
本研究で提案する高窒素含有粒界組成設計の指針となるSi_3N_4-SiO_2-Lu_2O_3-LuN四元系状態図を解明する第一のステップとして、金属直接窒化法による窒化ルテチウム(LuN)の合成手法を確立した。0.9MPaの加圧窒素雰囲気下、1600℃-8hの焼成条件により窒化率97%に達するLuNを〜1000mgオーダーで合成することに成功した。不純物酸素量は0.7wt%以下に低減され、四元系状態図研究に用いる出発原料としてLu_3Si_5ON_9等を含む高窒素含有領域の試料合成を可能とする組成を有することが確認された。 次いで合成されたLuNを用いてSi_3N_4-Lu_2O_3-LuN領域における試料合成を1850℃の温度条件により系統的に行い、120hに及ぶ長時間焼成により相平衡を検討した。粉末X線回折および化学組成の精密分析結果から、Si_3N_4-Lu_4Si_2O_7N_2-Lu_3Si_5ON_9およびSi_3N_4-Lu_3Si_5ON_9-Lu_6Si_<11>ON_<20>の三相平衡が生じることが明らかとなり、Lu_3Si_5ON_9およびLu_6Si_<11>ON_<20>が窒化ケイ素と平衡する新規な高窒素含有粒界相となり得ることを確認した。またX線回折データのリートベルト解析結果により、Lu_3Si_5ON_9およびLu_6Si_<11>ON_<20>相がそれぞれY_3Si_5ON_9およびEr_6Si_<11>ON_<20>と同型の結晶構造を有することが確認された。 次年度はLu_3Si_5ON_9、Lu_6Si_<11>ON_<20>の耐酸化性をはじめとする基本物性測定を実施するにあたり上記の高温固相反応に代わる効率的プロセスとして、SiO_2-Lu_2O_3系の還元窒化反応による粉末試料のバルク合成手法を創出することを目標とする。
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