2006 Fiscal Year Annual Research Report
再結晶と析出の重畳効果によるNi3Al基金属間化合物箔の複相ナノ構造制御
Project/Area Number |
18760536
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
出村 雅彦 独立行政法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, 主任研究員 (10354177)
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Keywords | ナノ材料 / 材料加工・処理 / 構造・機能材料 / 燃料電池 |
Research Abstract |
本年度は、強冷間圧延したNi_3Al/Ni二相箔(圧延率95%、Ni-18at%Al)について、600℃〜1000℃で30分の熱処理実験を行い、再結晶とNi_3Al粒の変化を調べ、次の結果を得た。 1 再結晶 X線集合組織測定及びSEM内電子後方散乱解析(EBSD)法による結晶方位解析の結果、600℃で再結晶が起こり、1000℃で完了することが分かった。再結晶の進展は、Ni_3Al単相箔に比べると遅い。 2 Ni_3Al粒の変化 圧延箔のNi_3Al粒を、箔面法線方向、圧延方向、箔幅方向それぞれからSEMで観察し、その形態を3次元的に調べた。Ni_3Al粒は、圧延方向に延びたファイバー形状を有していた。圧延前は立方体形状であったNi_3Al粒が、圧延によって塑性変形した結果である。ファイバー径は、太いところで0.2-0.3μm、細いところで数十nm以下であった。 部分再結晶状態にある800℃熱処理箔では、Ni_3Alファイバーの分断が所々で起こり、一部で数nm〜数十nmサイズのNi_3Alと思われる微細粒が分散した複相ナノ構造が形成していた。NiとAlの原子拡散が生じ、Ni_3Al/Ni界面エネルギーを駆動力として粒状化した結果と思われる。以上のように、圧延によるファイバー化と熱処理によるファイバーの分断によって、複相ナノ構造が形成されれことが明らかとなった。 再結晶が完了した1000℃熱処理箔では、Ni_3Alファイバーは消失し、かわりに塊状のNi_3Al粒が存在していた。この塊状のNi_3Al粒は数μmサイズにまで粗大化しており、熱処理温度が1000℃まで高くなると、原子拡散が活発に生じ、複相ナノ構造は崩壊したと考えられる。
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