2006 Fiscal Year Annual Research Report
高スピン分極率を有するホイスラー合金薄膜の構造と磁気・伝導特性
Project/Area Number |
18760537
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
高橋 有紀子 独立行政法人物質・材料研究機構, 磁性材料センター, 研究員 (50421392)
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Keywords | スピン分極率 / ホイスラー合金 / トンネル型磁気抵抗 |
Research Abstract |
本研究では磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)やハードディスクドライブ(HDD)の再生ヘッドで必要とされる高いトンネル型磁気抵抗(TMR)比を示すMagnetic Tunnel Junction(MTJ)を実現するために、Co基ホイスラー合金薄膜の作製と点接触アンドレーエフ反射を利用したスピン分極率測定を行う。実験的に高いスピン分極率が得られた材料を用いて、高いTMR比を実現することを最終的な目的としている。 本年度は、高いスピン分極率を示すホイスラー合金系ハーフメタル薄膜の創製を行った。キュリー点が高いCo基ホイスラー合金に着目して、高スピン分極率を有する材料の探索をまずバルクで行った。その結果、Co_2FeSiに約2%のCrを添加することにより、スピン分極率が0.57から0.64へと増加することを見出した。XRD及びメスバウワー分光による解析の結果、Cr添加によりB2不規則度の減少つまりL2_1規則度の増加していることがわかった。さらに、状態密度計算によりフェルミエネルギーが少数スピンバンドのギャップの上部から下部へ移動することも明らかとなった。この2つの理由でスピン分極率が増加したと考えられる。Co_2CrFeSiの薄膜も作製し、そのスピン分極率が増加することも確認した。現在、Co_2CrFeSiを上下電極としたMTJを作製中である。 材料探査と同時にMTJ作製のため、反強磁性層の成膜及び熱処理条件の確立、バリア層の選択、平坦な界面の実現などの準備も行った。反強磁性層としてIrMnを選択し、磁場中熱処理による一方向異方性の誘導には成功しているが、その強さはまだ十分ではない。今後、さらに最適化する予定である。表面の平坦性は、成膜時の基板温度を300度以下とすることにより、約2Aの非常に平坦な表面を実現している。
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Research Products
(1 results)