2007 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウム合金の温間成形におけるスプリングバック特性の解明とその有限要素解析
Project/Area Number |
18760547
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浜 孝之 Kyoto University, エネルギー科学研究科, 助教 (10386633)
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Keywords | マグネシウム合金 / スプリングバック / ハット曲げ成形 / 有限要素法 / 結晶塑性解析 |
Research Abstract |
今年度は特にマクロなスプリングバック特性に注目して研究を推進した.得られた成果を以下に示す. (1)高温引張り特性 炉のついた万能試験機を用いて,常温〜200°の温度域で静的引張試験を行った.得られた知見を以下に示す.(1)ヤング率,引張り強さは温度上昇とともにほぼ線形に低下する,(2)一様伸びの大きさは温度に依らず変化しない,(3)約150°以上で再結晶により結晶粒の顕著な微細化が確認された. (2)温間引張り曲げ成形におけるスプリングバック特性 ダイ肩半径5mmとして,金型温度やしわ押さえ力をさまざま変化させてスプリングバック特性を検討した.得られた知見を以下に示す.(1)金型温度の上昇に伴いスプリングバック量は顕著に低下し,200°付近ではほぼゼロとなった.(2)温度上昇に伴ってスプリングバック量が低下するのは,ヤング率の低下以上に引張り強さの低下が顕著なためと考えられる.しかし200°付近でスプリングバック量がゼロになる原因はマクロな機械特性のみでは説明できず,ミクロレベルも視野に入れたさらなる検討を要する.(3)高温下での成形でも,引張り試験の場合ほど顕著な再結晶は確認されなかった.また部位によって再結晶の発生に大きなバラツキが見られた.これは加熱時間と大きく関係していると考えられる.(4)高温,高しわ押さえ力になるほど材料に焼き付きが発生し,適切な成形が困難であった.これは潤滑剤に問題があると考えられ,今後適切な潤滑剤の検討を要する. (3)結晶塑性有限要素法プログラムの開発 詳細な検討より,従来の有限要素解析では適切なマグネシウム合金板成形解析の遂行は困難であることが示唆された.そこで均質化法結晶塑性有限要素解析プログラムの開発に着手した.当初は常温成形を対象とし,マクロ-ミクロ変形の関連について検討することを主目的として,開発を推進している.これにより従来の有限要素解析では不可能だった多くの知見が得られることが期待される.
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