2008 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウム合金の温間成形におけるスプリングバック特性の解明とその有限要素解析
Project/Area Number |
18760547
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浜 孝之 Kyoto University, エネルギー科学研究科, 助教 (10386633)
|
Keywords | マグネシウム合金 / スプリングバック / ハット曲げ成形 / 有限要素法 / 結晶塑性解析 |
Research Abstract |
交付期間の最終年度である本年度は, 主として組織観察によるミクロな変形特性について調査を行い, マルチスケール的視点に基づくスプリングバック特性の体系的な理解に向けた基礎検討を行った. 以下に, 得られた主な知見を箇条書きに示す. (1)本年度は新たな潤滑剤を用いることで, 高温且つ高しわ押さえ力下での実験に成功した. その結果, スプリングバック量の低減にはしわ押さえ力上昇よりも温度上昇の方がはるかに効果的であることが明らかとなった. (2)ハット曲げ成形においてスプリングバック量を左右する要因の一つである縦壁部の逆曲げについて直接観祭により検討した. その結果, 常温ではほとんど逆曲げが発生しなかったのに対して局温では顕著な逆曲げが観察された. この傾向にはしわ押さえ力の影響は見られなかった. 以上より, 逆曲げの発生が高温でスプリングバック量が極めて小さくなる要因の一つであることが示唆された. (3)成形品の組織観察を行った. 常温の場合, ダイ肩部で圧縮変形を受ける側の面(表面)近傍ではタイ肩部で多くの双晶が発生するが, その後縦壁部で引張変形を受けることでその多くが消滅した. 一方その裏面近傍では, 圧縮変形を受ける縦壁部で多くの双晶が発生するが, その数は表面に比べて少なかった. 以上より, 双晶の活動に起因して板の表裏面で成形性が大きく異なることが示唆された. また高温の場合, 200度以上での成形では顕著な再結晶が確認され, 高温でスプリングバック量が極めて小さくなる要因の一つが再結晶であることが示唆された. (4)結晶塑性有限要素法解析プログラムを開発した. 単軸圧縮・引張変形の解析を行った結果, 実験と定性的に良い一致を示した. 一方, 板表裏面で見られた双晶活動の違いは再現できていない. 今後応力経路反転に伴う双晶活動の変化を定式化することで, 高精度な結晶塑性解析プログラムを開発し, スプリングバック特性の体系的理解の一助とする所存である.
|