2006 Fiscal Year Annual Research Report
反応析出法によるナノ微粒子分散を施した環境半導体熱電変換材料の創成と高性能化
Project/Area Number |
18760551
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井藤 幹夫 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (00294033)
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Keywords | 熱電変換材料 / 環境半導体 / 微粒子分散 / 反応析出法 / 金属相複合化 / 熱伝導率 / 比抵抗 / ゼーベック係数 |
Research Abstract |
n型β-FeSi_2熱電変換材料であるFe_<0.98>Co_<0.02>Si_2化合物を対象に,AgOあるいはCuO粉末を10〜15at.%添加し,メカニカルグラインディング(MG)処理を施すことにより,β相中へのAg相あるいはCu相およびSiO_2相の微細分散化を試みた.AgOまたはCuO粉末を添加したFe_<0.98>Co_<0.02>Si_2焼結体では,AgOまたはCuOとSiの間の反応が進み,Ag,Cu,SiO_2,ε-FeSiが生成され,X繰回折パターンからも,試料がβ相,AgあるいCu相,ε相およびSiO_2相からなっていることが確認された.またSEMによる微細組織観察の結果,これらの各相がβ母相中に第2相として粒径10ナノメートル前後のナノスケールで微細分散されていることが分かった.Agはβ,ε相のどちらにもほとんど固溶しない一方,Cuはε相中に2at.%程度まで固浴することが分かった. これらの結果からAgOまたはCuO添加した両試料において第2相の微細分散効果により,金属相が複合化されているにもかかわらず焼結体の熱伝導率を効果的に低減させることができた.また,これら金属相の複合的効果により比抵抗も大きく低減できる一方,ゼーベック係数が大きく減少することが明らかとなり,AgOおよびCuOを添加した試料の性能指数は無添加の試料に比較して小さい値となった.本手法の比較として,粉径約1μmのAg粉末及びSiO_2を直接添加した試料では,1μmを超える大きさのε相および粗大なAg相が多数析出しており,本研究で試みた金属酸化物を用いた反応析出プロセスが第2相の微細分散に効果的であることが分かった.また今後,酸化物添加により増大したε相量を減少させるため,さらにSi粉末を添加した試料合成を試みるなどの対策が必要であることがわかった.
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