2007 Fiscal Year Annual Research Report
反応析出法によるナノ微粒子分散を施した環境半導体熱電変換材料の創成と高性能化
Project/Area Number |
18760551
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井藤 幹夫 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (00294033)
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Keywords | 熱電変換材料 / 環境半導体 / 微粒子分散 / 反応析出法 / 金属相複合化 / 熱伝導率 / 比抵抗 / ゼーベック係数 |
Research Abstract |
n型β-FeSi_2熱電変換材料であるFe_<0.98>Co_<0.02>Si_2化合物を対象に,AgOあるいはCuO粉末を10〜15at.%添加し,メカニカルグラインディング(MG)処理を施すことにより,β相中へのAg相あるいはCu相およびSiO2相の微細分散化を行った場合,AgOまたはCuOとSiの間の反応析出プロセスにより,Ag,Cu,SiO_2,ε-FeSiが生成され,これらの各相がβ母相中に第2相として粒径10ナノメートル前後のナノスケールで微細分散され,熱伝導率の効果的な低減に極めて有効であることが確認されたが,一方,金属相の析出により比抵抗も大きく低減できるものの,ゼーベック係数が大きく減少した.このゼーベック係数の減少を抑制するためには副生成物である金属相のε-FeSi相量を減少させる必要があると考えられたため,これにさらにSi粉末を添加した試料の合成を試みた.その結果,ε-FeSi相の析出を完全に抑制することはできなかったものの,その析出量をある程度低減することにより,ゼーベック係数の低下を抑えることに成功した.また,ナノ分散材の減少に伴う熱伝導率の上昇はほとんど起こらないことも確かめられた.以上の結果から,Si粉末の追加添加は無次元性能指数の向上に有効であることが分かった.このように,母相となるシリサイド系材料に,SiO_2相よりも化学的に不安定なAgOやCuO相を添加しMG処理することによる反応析出プロセスが,AgやCu粉末を単純混合したMG処理に比較して,金属相のナノ微粒子分散に極めて効果的であることが明らかとなった.
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Research Products
(2 results)