2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760554
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
廣本 祥子 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料センター, 主任研究員 (00343880)
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Keywords | 生体用金属材料 / 血流 / 腐食 / 回転電極 |
Research Abstract |
血管治療用材料であるステントに用いられる316Lステンレス鋼および、近年生分解性材料の候補材料とされているマグネシウムを用いた。血液と塩化物イオン濃度を同等に調整した食塩水中で、試料を0rpm〜1440rpmで回転させながら、浸漬電位のモニタリングと、引き続きカソード・アノード分極試験を行った。316L鋼は試料の回転の有無に関わらず、不働態保持電流密度はほとんど変化しなかったが、孔食電位が若干貴に移動し、耐孔食性がわずかに向上することが明らかになった。回転により材料表面近傍の物質拡散が促進されると、孔食の原因である塩化物イオンによる皮膜への吸着が阻害されるためと考えられる。 一方、純マグネシウムでは、回転数の増加に伴いアノード電流密度が増加したが、カソード電流密度はほとんど変化しなかった。これは、回転により材料表面近傍の物質拡散が促進されると、マグネシウム表面での皮膜形成が阻害されるために、アノード電流密度が増加すると考えられる。一方、マグネシウム表面でのカソード反応は、水の分解反応であるために、物質拡散の影響をほとんど受けないと考えられる。 これらの結果より、血流に曝されると、316L鋼のように保護性の高い不働態皮膜を有する材料の腐食速度はほとんど変化しないが、マグネシウムのように皮膜の保護性が低い材料においては、腐食速度が増加することが明らかになった。ステント用材料の耐食性・分解性評価環境には、流れが重要な因子であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)