2006 Fiscal Year Annual Research Report
微小硬さと形成した変形組織分布パターンからの被照射材料の引張特性変化の予測
Project/Area Number |
18760556
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
安堂 正己 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究職 (30370349)
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Keywords | 微小試験片評価技術 / 引張強度特性 / 微小硬さ / 圧痕下微小変形組織 / ミクロ-マクロ相関 / 照射損傷 / ミクロ組織データベース |
Research Abstract |
原子炉等の限られた照射場で得られた貴重な材料照射特性データの信頼性を一層高め、かつ材料開発の効率化に寄与するために、本研究では、さまざまな照射場で得られた照射材料に対してマイクロオーダーの微小な領域の評価より、マクロな強度特性を引き出すことを主たる目的とする。具体的には、 1)微小な領域での硬さ試験に加えて、それにより内部に形成される圧痕下部の塑性変形領域の広がりを定量化して、その対応関係を明らかにする。 2)次に実際のバルク試験片による引張試験結果との対応関係を明らかにする。 平成18年度では、硬さと引張特性の相関を把握するために、米国オークリッジ国立研究所にて低放射化フェライト鋼の中性子照射材の室温引張試験・硬さ試験を実施し、引張特性とそれに対応する硬さ変化との対応関係を整理したところ、照射硬化・脆化が顕著となる300度付近の照射温度では、照射前後での硬さ変化が降伏応力変化よりもむしろ引張強さの変化に対応していることがわかった。また照射材料との比較のために冷間加工によって照射硬化を模擬した低放射化フェライト鋼を2種類準備し、引張・衝撃試験片の作製を行った。さらにマクロな強度特性とミクロ組織変化の対応関係をとるために重要となるミクロ組織データベースの構築を行った。 平成19年度では、これらの結果を基に、微小硬さデータを取得した照射・未照射試験片の圧痕部分を含む断面薄膜サンプルを作製し、圧痕下部変形組織の観察・解析を行い、引張特性への関連付けを行うことで、微小硬さ試験から、引張特性(降伏応力)の予測を試みる。またミクロ組織の解析結果から、単純な分散硬化モデルを適用し、形成した照射欠陥量から降伏応力を見積もった結果との比較も行う。
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