2006 Fiscal Year Annual Research Report
強化材の凝集現象を応用した金属基複合材料のリサイクル技術の開発
Project/Area Number |
18760560
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
水本 将之 長崎大学, 工学部, 助手 (90325671)
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Keywords | 金属基複合材料 / リサイクル / 分離技術 |
Research Abstract |
機械的及び物理的諸特性に優れる金属基複合材料(MMC)は、幅広い分野で応用が期待されているが、他の金属材料と比較して、そのリサイクル技術は十分に確立されているとはいえない。これまでの研究から、再溶解させたMMCをノズル部から流出させることにより、強化粒子とマトリックス合金が分離されることがわかった。この際、強化粒子はノズル部近傍で凝集してスケルトン構造を形成してノズル部に残留し、フィルタとして機能すると考えられることから、ノズルの形状がスケルトン構造の形成過程に影響を及ぼすことが予想される。本課題では、ノズル部におけるスケルトン機構の形成機構および強化粒子とマトリックス合金の分離機構に及ぼすノズル形状の影響を明らかにすることを目的とした。マトリックスにはAl-4%Cu合金を、強化粒子にはSiC粒子(平均粒径:75μm)を用いて作製した粒子強化MMC(PRMMC)を分離実験に用いた。ノズル形状がスケルトン構造の形成機構に及ぼす影響を調べるため,ノズル部の角度を変化させた5種類のノズル形状をもつ石英管を作製して実験に用いた。5種類のノズルを用いて、分離実験を行った結果、ノズル角が小さくなる程、回収率が高くなる傾向を示した。また、流出物中の強化粒子の面積分率は、ノズル角が30°および180°の時にわずかに高くなり、これは強化粒子が溶湯と共に流出したことを示している。分離の際には、溶湯の流動と共に強化粒子が移動するため、ノズル部の断面積の変化により強化粒子の凝集およびスケルトン構造の形成が促進または阻害されると考えられる。以上の結果から、強化粒子の凝集によるスケルトン構造を形成を促進させ、PRMMCの分離を進行させるためには、最適なノズル形状があり、ノズル角が80〜120°のノズルが、PRMMCの分離に適することがわかった。
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