2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760567
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
菰田 悦之 神戸大学, 工学部, 助手 (00397796)
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Keywords | 減圧乾燥 / 細孔径分布 / 飽和蒸気圧 |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池の触媒膜作製においては、触媒粒子と高分子電解質の溶液から構成されるスラリーの塗布・乾燥が一般的であるが、これらの操作が触媒膜の内部構造や発電性能に影響を及ぼすことに着目し、塗布に加えて乾燥操作による構造制御手法についての研究を開始した。スラリーの分散媒が揮発性を有することから乾燥速度が早いことでクラックなどの構造欠陥を引き起こすことから、溶媒の飽和蒸気圧雰囲気下において乾燥速度を遅くして粒子の再配列を促す乾燥方法を導入した。この乾燥方法を導入した結果、十分に分散されていると考えていたスラリーを用いたにも関わらず、分散時間によって膜構造に違いが見られる場合があった。これより、スラリーの調整条件において過剰な撹拌により触媒粒子の再凝集が促進されている可能性が明らかになり、急遽乾燥条件に加えてスラリーの調整条件にも着目した検討を実施した。この結果、スラリーの調整においては触媒粒子と高分子溶液の混合時間を長くすると両者の絡み合いが進むが、過剰な混合は逆に局所的な凝集構造の形成に繋がることが示唆された。この絡み合い現象に関しては、今後さらに詳細な検討を進めていく必要がある。このようにスラリーの調整条件による触媒膜構造に及ぼす影響は無視できないが、スラリー調整条件を一定化して先に述べた乾燥方法による膜構造制御を試みた。当該の乾燥方法における特徴的な操作因子である乾燥時の圧力とその圧力における保持時間が膜構造に及ぼす影響を調査した。この結果、スラリーの飽和蒸気圧よりも低い場合には圧力保持時に、十分に高い場合には圧力保持後に乾燥が急速に進行しひび割れが発生した。また、圧力保持時間を長くすることで、触媒粒子間の細孔が広がり、性能の向上が期待できた。従って、飽和蒸気圧よりも若干高い圧力において、十分な保持時間を設けることが内部構造の最適化には有効であることが示唆された。
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