2006 Fiscal Year Annual Research Report
QM/MM法と実験を併用した超臨界水中での反応に対する水の役割の解明
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18760571
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
本間 哲雄 八戸工業高等専門学校, 物質工学科, 助手 (10369910)
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Keywords | 化学工学 / 超臨界流体 / 基礎物性 / 化学反応 / QM / MM法 |
Research Abstract |
超臨界水中での化学反応に対する反応化学種(OHマイナス、OHラジカル)の役割の解明を目的として、ハイブリッド量子力学/分子力場(QM/MM)法から水和構造を検討した。始めに計算精度・速度に関係する基底関数を決定するための予備計算を行い、多くの計算で用いられている非制限Hartree-Fock/6-31G+(d,p)を使用することに決定した。続いて、超臨界水中での化学反応における反応化学種としてOHマイナス及びOHラジカルを選択して水和構造解析を行った。計算から、OHマイナス周囲の水和構造は酸素原子・水素原子周囲に水分子との水素結合を形成し、特に酸素原子周囲に2個の水分子の配位が示唆された。このことは、OHマイナスの水和挙動が水分子に類似することを示唆している。一方、OHラジカルについては水素原子の近傍に強力で小さい水和殻が形成されるが、長距離構造は形成されなかった。水和構造に対する密度の影響は、OHマイナスではほぼ無関係なのに対して、OHラジカルでは臨界密度に近いほど、水分子の水和が阻害される傾向を見せた。このことはOHラジカルの分子量が小さいため、反発型溶質として寄与したと考える。以上より、超臨界水中での反応化学種の水和構造は、反応化学種に極性があると水分子に類似した水和構造を形成し、非極性の反応化学種では分子量が支配因子となること明らかにした。
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Research Products
(3 results)