Research Abstract |
本年度は大電流半導体スイッチ(IGBT)による放電回路の開発を行い,実際にヘリウムガスを用いた繰り返しパルス放電による磁化プラズモイドの生成に成功した。繰り返し周波数は,最大5kHz程度である。 ヘリウムガスによる実験では,2回目以上の放電で,比較的低エネルギーでのプラズモイドの生成されることが確認された。分光計測による検証の結果,イオンによる発光が減衰した後も,数百μ秒にわたりヘリウムの中性粒子によるスペクトルが観測されることから,一一度電離したイオンが再結合後も準定常準位に長時間滞在し,比較的小さなエネルギーで再電離がおこることが確認された。 また,生成後のプラズモイドが射出・移送されるドリフト管領域において,周辺のガス圧を制御することで,荷電交換反応により,超音速中性粒子流が生成されることが確認された。これは,今後,衝撃波研究や磁化プラズマへの粒子供給などに応用出来ると期待される。 また,生成された磁化プラズモイドの磁場構造や緩和過程を検証するため,磁気プローブアレイの開発を進めた。3月までに製作は終了し,予備実験を行った結果,生成された磁化プラズモイドが,無力配位であるスフェロマック配位に緩和する過程の観測に成功した。この緩和過程はヘリシティの総量に依存し,緩和時間よりも速い時間スケールでヘリシティ量の変化が起こる場合,配位がスフェロマックには緩和しないことがわかった。今後,詳細に計測を進める計画である。
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