2007 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマスガス化で生成するタールの新規流動層酸化改質反応に関する研究
Project/Area Number |
18760578
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
古澤 毅 Utsunomiya University, 工学部, 助教 (50375523)
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Keywords | バイオマス / ガス化 / タール / 触媒 / 水蒸気改質 / サイクル試験 / 析出炭素の酸化除去 / 触媒の前処理の有無 |
Research Abstract |
今年度上半期では新規作製実験装置を用いて、流動層・酸化改質反応をキーワードに触媒充填法・触媒の種類・ガス流路の変更等を工夫することで、バイオマスタールの流動層酸化改質反応を試みたが、触媒層前段への激しい炭素析出によりガス流通抵抗が生じ、再現性の良い結果が得られなかった。そこで、流動層での酸化改質から研究内容をシフトし、バイオマスタールの水蒸気改質反応での触媒耐性に着目し、研究を遂行することとした。以下にその結果を詳述する。 今回、リグニンの水熱ガス化反応に高活性を示したNi/MgO触媒を用いた。まず、各種反応条件(反応温度,触媒充填量,担持量,Steam/Carbon比)が水蒸気改質反応活性に与える影響について検討した。(1)反応温度は水蒸気改質反応活性に対して大きく関与しており、反応温度の上昇に伴い活性が向上する。(2)触媒充填量に関して本条件下では、1gが最適であった。(3)担持量が異なることで、触媒上に露出して形成される金属Niの表面積,粒子径も変化し、担持量20〜25wt.%が最適であった。(4)水蒸気量の増加に伴い改質反応活性が向上し、H_2の生成割合も顕著に増加したが、過剰の水蒸気供給は活性種である金属Ni粒子を酸化し、失活の原因となりS/C比=2が最適だと分かった。 上記の検討結果に加えて、水蒸気改質反応後に触媒上に析出する炭素が温和な酸化条件で除去できる点と、触媒の前処理を施さなくても改質反応活性が発現する点から、触媒のサイクル試験を行った。その結果、3サイクル目から触媒失活が観測され、繰り返しの酸化・反応ガスによる還元処理によりNi金属粒子のシンタリングを誘発し、触媒表面が変化してしまったためだと考えた。以上の結果から、高活性・長寿命の触媒開発には活性種と担体の間のSMSIが不可欠であることが分かった。
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