2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナイシンの高生産を目的とした高濃度ナイシン脱感作株の育種
Project/Area Number |
18760593
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仁宮 一章 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (10379125)
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Keywords | 乳酸菌 / ナイシン / GFP / フローサイトメーター / 育種 |
Research Abstract |
ナイシンは乳酸菌が産生する微生物産生抗菌性ペプチド(バクテリオシン)であり、グラム陽性菌に対して幅広い抗菌作用を示す。このため、ナイシンは食品、特に発酵食品の保存剤として期待されている。本研究室で以前行われた研究で、ナイシン生産性乳酸菌を培養した際高ナイシン濃度下でナイシンの生産が抑制される現象が起こることが分かっている。ナイシンの高密度生産にはこのナイシン生産抑制が問題となる。本研究では、この高ナイシン濃度下でも生産抑制が起きない菌株を変異とスクリーニングにより育種し、ナイシン生産濃度の上限値をあげることにより、抗菌物質ナイシンの高密度生産を行うことを目的とする。 従来、ナイシン生産能の評価法として指示菌の生育阻害により形成される阻止円(ハロー)を指標としたバイオアッセイ法が用いられてきたが、この従来法ではスクリーニングの選択圧として培地中に高濃度ナイシンを添加する際指示菌が死滅してしまうため、ナイシン生産能を評価できなくなるという問題が生じる。そこで本研究では、GFPレポーターとフローサイトメーターを利用し、蛍光マーカーであるGFPを用いてナイシン生産を間接的に評価することで上述の問題点を解決する。 使用菌株としてナイシン生産乳酸菌Lactococcus lactis NZ9700およびいL.lactis ATCC11454を用いた。ナイシン生産性をGFP蛍光強度で評価するために,gfp遺伝子をnisAプロモーター下流にもつプラスミドpNZ8048Gを構築した。本プラスミドをエレクトロポレーション法で形質転換することによりGFPレポーターナイシン生産株L.lactis NZ9700/pNZ8048G及びL.lactis ATCC11454/pNZ8048Gを得た。変異処理はトランスイルミネータで254nmの紫外線を規定時間照射することで行った。培養はMRS培地を用いて30℃、pH6.0、好気条件で行った。ナイシン濃度についてはナイシンバイオアッセイ法で定量した。GFP発現についてはフローサイトメーター、蛍光強度計、光学顕微鏡で評価した。高GFP発現株の分取はセルソーターを用いた。
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