Research Abstract |
昨年度,発電状態にある太陽電池アレイクーポンに,直径3mmの球状飛翔体を超高速で衝突させるため,二段式軽ガス銃を用いた超高速衝突実験を行ったが,外部回路に接続されている電源の印加能力制限により,電圧/電流を最大120V/4A までしか印加できず,この印加条件は持続放電発生の閾値付近であった可能性があり,明確な持続放電を確認することができなかった.また,飛翔体の射出速度が2.5km/s 以下であったため,衝突エネルギーが小さかったことも持続放電が発生しなかった原因の一つであると考えられた. そこで,より高速,高電圧で安定して超高速衝突実験を行うために,下記二つの装置改良および製作を行い,衝突時に発生するプラズマの特性と放電時の外部回路の電圧,電流履歴を計測し,恒久的持続放電発生の可能性および発生条件を検証した. (1)二段式軽ガス銃の飛翔体射出方法をサボ分離機構に改良し,約4km/s の飛翔体衝突速度を実現させた. (2)高速応答大容量定電流電源(最大印加電圧:192V, 最大設定電流:4.8A)を製作した. 結果,飛翔体衝突速度が4km/s 程度の場合,印加電圧:182 V 以上,電流:2.4 A以上において,衝突時の絶縁層の破壊と衝突誘起プラズマにより,恒久的持続放電が発生することがわかった.また,飛翔体衝突点から100 mm 程度離れた点におけるプラズマ計測結果を,時間的・空間的変化を考慮した移流拡散方程式を用いて,飛翔体衝突点近傍における飛翔体衝突時の電子密度を計算した結果,約1×10^<21> m^<-3>の高密度プラズマが誘起されていることがわかった.さらに低地球軌道上と同程度以上のプラズマ環境(電子密度:約1×10^<11>m^<-3>)は,衝突点近傍で50μs程度の間持続することがわかった.
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