2006 Fiscal Year Annual Research Report
非対称小規模海底構造物を用いた航路埋没防止技術の開発
Project/Area Number |
18760621
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
押川 英夫 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (80311851)
|
Keywords | 非対称構造物 / 底質輸送制御 / 航路埋没防止 / 波浪エネルギー |
Research Abstract |
小規模非対称構造物を海底に設置することにより底質の移動を制御し、底質輸送に関する諸問題に対処する技術を開発している。本研究では、航路埋没の防止策としての本技術の適応性を評価するための第一段階として、室内実験による検討を行った。 実験Iとして、細粒土砂による航路埋没現象の主要因となっているシルテーションを対象とした検討(fluid mudの制御)を行った。fluid mudは濁水密度流と考えられるので、まずは基礎実験として塩水でfluid mudを模擬し、航路への塩水の侵入を非対称構造物により制御した。構造物が無い場合に対する構造物が設置された場合の塩水の侵入阻止率を求めたところ、非対称構造物では13〜45%の塩水の侵入が抑制されていることが分かった。また、同様の評価により対称構造物の侵入抑制効果(遮蔽効果)を見積もると平均で15%であった。 実験IIとして底質の粒度が粗い砂を対象とした実験を行った。但し、ここでは底質材料として比重1.5、中央粒径200μmの軽量物質を用いている。実験IIの結果として、航路付近に堆積した底質の航路内への侵入を90%程度抑制し得ることが示唆された。 本研究では、非対称形状を有する小規模構造物を利用した航路埋没防止技術について、室内実験に基づく検討を行った。fluid mudによる航路埋没の防止を意図した実験からは、この種の非対称構造物を設置することにより平均で38%の侵入阻止効果があることが分かった。一方、同条件における対称構造物の侵入阻止効果は15%であった。またこの実験は、河口域における塩水侵入の抑制を試みた実験とも捉えることが出来るため、本技術は塩水侵入の抑制にも有効である。底質が砂の場合を意図した実験からは、航路の肩付近に堆積した底質の航路内への侵入が90%程度抑制されており、航路への土砂の堆積の大幅な削減が可能となることが示唆された。
|