2007 Fiscal Year Annual Research Report
磁場構造の差異を超えたヘリカルプラズマ内部輸送障壁形成物理の系統的理論研究
Project/Area Number |
18760638
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
横山 雅之 National Institute for Fusion Science, 大型ヘリカル研究部, 准教授 (60290920)
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Keywords | ヘリカル系プラズマ / 輸送障壁 / 高イオン温度 / トロイダル回転 / 新古典輸送解析 / 両極性径電場 |
Research Abstract |
核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)において水素プラズマの高イオン温度化が進展した。このような高イオン温度プラズマでは、温度分布に屈曲が現れ、イオン熱輸送の閉じ込め改善が実現していることが示唆されている。新古典両極性径電場は負(イオンルート)となることが新古典輸送計算から明らかとなり、これは、電子温度がイオン温度より高い状況の「中心部電子ルート閉じ込め」と対照的な性質である。負の径電場による低衝突周波数領域でのリップル輸送の抑制が示され、ヘリカル系プラズマにおける、径電場を活用した閉じ込め改善に関して、従来の知見を拡大することができた。さらに、熱拡散にとどまらず、LHDの高イオン温度プラズマに特徴的な中心部のトロイダル回転促進に対して、フローも取り扱える3次元新古典輸送コードDKESの整備を進めた。低衝突周波数領域でのDKES計算の収束性の問題に直面しているが、低イオン温度時の解析、実験観測との比較を進めている。これらの進行状況について、アメリカ物理学会プラズマ分科会年会での招待講演を始めとして、各種学会において発表を行い、実際のプラズマショットを対象としたベンチマーク活動を開始する端緒を形成した。米国のプリンストンプラズマ物理研究所で建設が進められている準軸対称ヘリカル装置NCSXと、それとは大幅に異なった磁場概念に基づくLHDにおけるトロイダル回転促進観測とを府瞰的知見としてまとめる方向の研究として、DKESコードを活用した共通な新古典輸送係数データベース作成に向けた作業にも取り掛かっている状況である。この作業のさらなる進展により、ヘリカル系プラズマにおける磁場構造の差異を超えたプラズマ回転特性、粘性特性に関する俯瞰的知見を創出できるものと期待される。
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Research Products
(5 results)