2006 Fiscal Year Annual Research Report
重水素を用いたレーザープラズマによる陽子加速機構の解明
Project/Area Number |
18760659
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
余語 覚文 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (50421441)
|
Keywords | レーザーイオン加速 / 高強度レーザー / イオンビーム / 短パルスレーザー / レーザープラズマ / 高強度場科学 |
Research Abstract |
高強度レーザーイオン加速における薄膜ターゲット表面不純物の影響を実験的に検証するために、薄膜ターゲットの表面を有機化合物でコーティングした2重層ターゲットを用いて、イオン発生の比較を行った。厚さ3ミクロンの金属薄膜(タンタル)の裏面に厚さ130ナノメートルのポリスチレンをコーティングした2重層ターゲットに対して、集光強度2.7 X 10^<18>W/cm^2の高強度レーザーを照射した場合で、ポリスチレン層のない金属のみの薄膜に比べて、約10倍の収量の高速陽子線が測定された。陽子線の最大エネルギーは約1MeVであった。金属のみの薄膜では、陽子線の発生源は水や炭化水素などの表面不純物に起因しており、不純物層の厚さは約10ナノメートルと評価される。したがって、2重層ターゲットにおけるポリスチレン層の厚さは、金属のみの薄膜が持つ不純物層の約10倍であり、ポリスチレン層の付加によって表面の水素原子数が10倍に増加したことが、高速陽子線収量の増大に反映されたと考えられる。この結果は、陽子線の発生起源を考察する上で重要である。 また、高速イオン測定の効率化・高精度化を目的として、独自に開発したイオンエネルギースペクトルのオンライン分析装置を用いた実験を行った。なお、本補助金の使途としては、オンライン分析装置の製作に使用した。その結果、オンライン分析器を用いてレーザー集光条件等のイオン加速条件を効率的に最適化することで、より高エネルギーのイオンを発生することが可能となった。また、薄膜材料としては金属よりポリイミド等の有機化合物が有利であることが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)