2006 Fiscal Year Annual Research Report
フレキシブル熱電変換素子を目指した金属基板上への酸化物熱電薄膜作製技術の創製
Project/Area Number |
18760666
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
一野 祐亮 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (90377812)
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Keywords | 熱電変換 / 酸化物 / 薄膜 / 金属基板 / エピタキシャル成長 / n型 |
Research Abstract |
フレキシブルな金属テープ上への熱電変換素子の作製を目指し、中間層配向型金属テープが酸化物熱電薄膜のエピタキシャル成長に及ぼす影響について検討を行った。具体的な検討内容は、金属テープ上にSm_<2-x>Ce_xCuO_4(SCCO)熱電変換薄膜を蒸着し、その配向性をX線回折法によって評価し、ゼーベック係数の測定から熱電変換特性を評価した。本研究によって得られた知見は以下の通りである。 (1)MgO中間層を持つ金属基板上へのSCCO薄膜 様々な成長温度で金属基板上にSCCO薄膜を成長させ、その結晶構造をX線回折法を用いて評価したところ、エピタキシャル成長したSCCOに加えて、多結晶状態のSCCOも含まれていることがわかった。多結晶SCCOは電気抵抗率を上昇させ、熱電変換性能を低下させてしまうため、出来るだけ少ない方が良い。成長温度に対する多結晶SCCOの量に注目したところ、成長温一度が高いほど多結晶SCCOは減少した。電気抵抗率は多結晶SCCOの減少に伴って低下し、最小で35.1mΩcmを示した。 (2)CeO_2第二中間層上におけるSCCO薄膜 (1)で得られた35.1mΩcmは、SrTiO_3単結晶基板上にエピタキシャル成長させたSCCO薄膜の値よりも数倍高い値である。抵抗率を低減させるために、CeO_2を第二中間層としてMgO中間層上に蒸着した金属基板を作製し、(1)と同様にSCCO薄膜の成長温度を変化させた。その結果、多結晶SCCOは半減し、17.2mΩcmの抵抗率を得た。 (3)金属基板上SCCO薄膜の熱電変換性能 (1)、(2)で得られたSCCO薄膜のゼーベック係数を測定した。(1)では、ゼーベック係数は-270μV/K程度と、成長温度に関わらず一定であったが、(2)では、成長温度が高くなると-200μV/Kまで絶対値が低下した。これは、中間層のCeがSCCOに拡散し、SCCOの電子密度が高くなったためと考えられる。
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