2007 Fiscal Year Annual Research Report
フレキシブル熱電変換素子を目指した金属基板上への酸化物熱電薄膜作製技術の創製
Project/Area Number |
18760666
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
一野 祐亮 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (90377812)
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Keywords | 熱電変換 / 薄膜 / プレーナ型モジュール / 酸化物 / カルコゲナイド |
Research Abstract |
フレキシブル金属テープ上への熱電変換薄膜素子の開発を目指し、酸化物熱電変換材料(Sm_<2-x>Ce_xCuO_4、以下SCCO)のエピタキシャル成長と、現在実用化されているカルコゲナイド(Bi_2Te_3およびSb_2Te_3)材料を用いてプレーナ型熱電変換薄膜モジュールを試作し、発電特性について評価を行った。 MgO中間層配向型金属テープ上に第二中間層としてSrTiO_3(STO)を採用し、SCCO薄膜と共にパルスレーザー蒸着(PLD)法によって様々な条件下で成長させた。その結果、STO中間層上SCCO薄膜は、酸素圧力0.2Torr、930℃以上でSCCO(001)[100」//STO(001)[100]の方位関係を持ってエピタキシャル成長することを確認した。このSCCO膜の熱電性能は、抵抗率〜1Ωcm、熱起電力-300μV/K@RTであった。STO単結晶基板上SCCOに比べて抵抗率が1〜2桁高いが、STO中間層の結晶性改善で解決可能と考えられる。 次に、カルコゲナイドを用いてプレーナ型熱電変換薄膜モジュールをAI_2O_3(001)単結晶基板上に作製したところ、温度差90℃で一対当たり最大2.4mVの熱起電力と24nWの発電力が得られた。市販カルコゲナイド系バルクモジュールと比較すると起電力、発電力ともに遠く及ばないが、これは薄膜の断面積が小さいことによる大きな抵抗とモジュール部(〜10μm厚)に比べて基板(〜500μm厚)が厚いために熱源からの温度差がモジュール部に十分に伝わらなかった事が主な原因である。モジュールの高密度化、肉薄・高熱伝導率基板の採用で解決可能である。 以上から、本研究によってSCCO薄膜をフレキシブ金属テープ上でエピタキシャル成長させることが可能となった。また、プレーナ型モジュールの構造を用いることで、熱電変換薄膜による熱電変換発電が実現可能であることを実証した。
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Research Products
(1 results)