2006 Fiscal Year Annual Research Report
鉄鋼業における超長期の国際需給構造とエネルギー消費・炭酸ガス排出に関する分析
Project/Area Number |
18760668
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小杉 隆信 立命館大学, 政策科学部, 助教授 (30273725)
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Keywords | 地球温暖化 / 資源循環 / 製鉄プロセス / 数理計画モデル / 費用便益分析 / 物質総需要量 |
Research Abstract |
まず、鋼材に求められる品質により鉄鋼を電気機械向けと建設向けの2つの用途に大別し、それぞれの用途について、世界各地の過去の統計データを元に需要推計モデルを作成した。これをもとに将来の鉄鋼需要に関する分析を行った結果、21世紀末における世界全体の鉄鋼需要は、このままの利用の仕方では28億トン〜40億トン(現状の2.5〜3.6倍)になると見込まれる一方、製品寿命と使用後製品回収率を2倍にする場合には22〜31億トン(現状の2.0〜2.8倍)になることなどが推計された。 次に、鉄鋼とエネルギー供給構造についての数理計画モデルを設計した。このモデルは、将来の鉄鋼とエネルギー供給の需要を与えた上で、その供給を行うための技術とその適用地域のベストミックスを費用便益分析の考え方により求めるものである。本モデルのパラメータの値を得るため、鉄鉱石の採掘・製鉄・製鋼・鉄スクラップ再利用の各プロセスに関わる世界の地域別のエネルギーフローとマテリアルフローの現状や、これらのプロセスの実現する技術の特性やコストを調査・推計した。 開発されたモデルを用いて、使用後製品リサイクルと直接還元製鉄プロセス利用の促進による二酸化炭素排出削減や、製品寿命の延長と使用後製品回収率の向上によるTMR抑制の効果を試算した。これにより、将来の地球温暖化防止の観点や、鉄鋼に関わる物質総需要量(TMR)抑制の観点から望ましい鉄鋼供給のあり方に関する予備的検討を行うことができた。 研究成果の一部は、第7回エコバランス国際会議(2006年11月、於:つくば市)で発表した。
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