2006 Fiscal Year Annual Research Report
光駆動型バイオリアクターを用いた有用物質の生産技術の開発と応用
Project/Area Number |
18769004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
原 清敬 早稲田大学, 付置研究所, 助手 (40434378)
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Keywords | 微生物機能 / 物質生産 / バイオ生産プロセス / バイオリアクター / 生物機能工学 / 酵素利用学 / エネルギー変換プロセス / 生体エネルギー変換 |
Research Abstract |
本年度は本研究で最終的に目指す光駆動型バイオリアクターの構築の前段階として、紫膜小胞リアクターの構築を行った。本システムは、バクテリオロドプシンを含む紫膜、ATP合成酵素を膜内に配備したエネルギー生産小胞(リボソーム)である。バクテリオロドプシンは高度高塩菌の細胞膜に斑点状に存在する紫膜に含まれる。東京工業大学大谷弘之先生より分譲していただいたバクテリオロドプシンを過剰に生産する高度高塩菌H.salinarium ET1001株を高食塩濃度の培地を用いて培養した。集菌後、浸透圧により細胞膜を部分的に破壊し紫膜を分離した。また、好熱菌由来ATP合成酵素の大腸菌発現系を東京工業大学吉田賢右先生、鈴木俊治先生より分与していただき、安定性の高いATP合成酵素を精製した。以上のようにして得られた紫膜およびATP合成酵素の混合液にリン脂質を添加し、小胞を再構成した。以上のように調製した紫膜小胞は、バクテリオロドプシンおよびATP合成酵素が、細胞に存在するときの向きと反対の向きになる。そのため、紫膜小胞に光を照射すると、小胞内部にプロトンを取り込み、小胞外部に対してプロトン濃度が高くなる。この小胞内外のプロトン濃度勾配がATP合成酵素を駆動し、ADPからATPが再生される。これまでにルシフェリンルシフェラーゼを用いてこの3光駆動のATP再生活性を確認した。また、ATP駆動酵素としてグルタチオン合成酵素や、ジペプチド合成酵素などのATP駆動酵素を精製し、ATP存在下における生産物の産生を確認するに至っている。今後は、紫膜小胞の光駆動ATP再生活性を利用して、共存させたATP駆動型有用物質生産酵素を駆動し、持続的に有用物質を生産させる。
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