2006 Fiscal Year Annual Research Report
不活性X染色体上で不活性化を免れる領域のクロマチン構造の解析
Project/Area Number |
18770006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 友二 京都大学, 医学研究科, 科学技術振興助手 (70362522)
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Keywords | X染色体不活性化 / ヘテロクロマチン / ヒストンメチル化 |
Research Abstract |
ゲノム中で、転写される遺伝子領域は真正クロマチン構造を、残りの大部分の不活性な領域はヘテロクロマチン構造をとっている。ヘテロクロマチン化による遺伝子の発現抑制の極端な例として、哺乳類のX染色体不活性化がある。しかしながら、ヒトの場合、不活性X染色体は全体がヘテロクロマチン化され、ほぼ全ての遺伝子の発現が抑制されているにも拘らず、数個の遺伝子では不活性化を免れ転写が維持されていることが知られている。本研究では、近年明らかになってきた真正クロマチン、あるいはヘテロクロマチンに特徴的なピストンの修飾をマーカーとして、不活性化を免れる遺伝子領域での真正クロマチンとヘテロクロマチンの境界部位を同定し、ヘテロクロマチン化を阻止し、真正クロマチン構造を形成・維持する共通メカニズムを探ることを目的としている。 ヒト活性X染色体あるいは不活性X染色体のみを持つヒト-マウス雑種細胞を用いて不活性化を免れる遺伝子であるEIF2S3、STS、UBE1とその近傍遺伝子の転写状況を調べたところ、EIF2S3の5'上流の、KLHL15と、UBE1の5'上流のRBM10はいずれも不活性化を受けていた。従って、KLHL15とEIF2S3の間28kbと、RBM10とUBE1間4kbのそれぞれの領域にヘテロクロマチンと真正クロマチンの境界部位が存在することが示唆された。RBM10からUBE1までの領域のピストン修飾を調べた結果、不活性X染色体特異的にRBM10から下流に続くヘテロクロマチン特異的なピストンH3の9番リジンのtri-メチル化がUBE1の上流2kb辺りで著しく減少していることが検出された。ピストンH4の20番リジンのtri-メチル化修飾も同じような挙動を示しており、UBE1から2kb上流の部位にヘテロクロマチンと真正クロマチンの境界部位が存在することが強く示唆された。
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