2006 Fiscal Year Annual Research Report
雌の条件依存的な配偶者選択:「テスト産卵」戦術の出現機構の解明
Project/Area Number |
18770018
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
竹垣 毅 長崎大学, 大学院生産科学研究科, 助手 (50363479)
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Keywords | 配偶者選択 / 性淘汰 / 魚類 / 子の保護 / 卵食 / フィリアルカニバリズム / 進化 / 行動生態 |
Research Abstract |
(1)ロウソクギンポ雌の産卵パターンを解明するために、野外で雄の持つ人工産卵巣に産み付けられる卵の産着パターンを追跡調査した。その結果、雌が(1)産卵巣内の空きスペースや(2)巣内の保護卵の発生段階などの条件によって、産卵相手を選んでいることが示唆された。 (1)産卵巣の入口付近は巣の中央部や奥部に比べて卵が産み付けられる頻度・量が少なかった。入口付近は、捕食者に保護卵を捕食されやすいためか(卵食の可能性もあり)卵の消失率が高く、雌が入口付近への産卵を避けていることが示唆された。 (2)産卵巣内で保護中の卵に発生の進んだ発眼卵が含まれている場合、その巣の空きスペースの大小にかかわらず、卵が新たに産み加えられる頻度・量が極端に低下した。これも雌が発眼卵のある巣への産卵を避けたと推察された。この発眼卵回避は、保護雄による未発眼卵への選択的な卵食(フィリアルカニバリズム)によって(成果(2)参照)自身の産んだ卵の死亡率が高まるからではないかと考えている。19年度は、雌の発眼卵回避を野外で卵移植実験で、保護雄の卵食の選択性を水槽実験でそれぞれ検証する。 (2)ロウソクギンポ雌の配偶者選択に与える雄の卵食の影響を明らかにするために、繁殖期に定期的に雄と産卵巣を採集して、雄の消化管と産卵巣内の卵を発生段階別に計数した。その結果、採集された保護雄の消化管内から、巣内で保護中の卵と同じ発生段階の卵が多数発見された。それらの卵は全て産卵後3日以内の未発眼卵であったことから、雄は発眼卵よりも繁殖価値が低いと考えられる未発眼卵を選択的に食べると考えられた。
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