Research Abstract |
生細胞におけるゴルジ体のさらなる詳細な構造解析を行うため,シロイヌナズナゴルジ体のシス,メディアル,トランスの各層板を,GFP,RFP,YFP等の蛍光タンパク質とSYP31,xylosyltransferase,syalyltransferaseとの融合タンパク質によりそれぞれ標識した形質転換シロイヌナズナを作製するとともに,複数のゴルジ体マーカーを同時に発現する形質転換体の作出を行った.高速高精細共焦点顕微鏡観察システムを用いてこれらの形質転換体の観察を行った結果,2つのゴルジ体間を連絡するチューブ状の構造を見いだした.植物におけるゴルジ体間の物質輸送については,そのメカニズムがこれまで全く解明されていない.本研究により我々が得た結果は,このゴルジ体間輸送がチューブ状構造によりゴルジ体が直接連結することにより行われていることを示す有力な証拠となりうる. 一方,ゴルジ体の形態が異常となる変異体についても解析を進めた.われわれはこれまでにゴルジ体が肥大する変異体,凝集する変異体,ゴルジから非常に長いチューブ状構造が生じる変異体等の単離に成功している.この中でも特に,ゴルジ体から長いチューブを生じる変異体について,野生型の細胞で観察されたゴルジ体間を連絡するチューブとの関係を探るべく,さらなる詳細なゴルジ体の形態観察と原因遺伝子のマッピングを行った.マッピングについては現在進行中であるが,形態観察の結果,野生型で観察されるゴルジ体由来チューブ状構造と変異体で観察されるチューブ状構造に共通点が観察されたことから,この変異体においてはゴルジ体間連絡の際のチューブ形成に異常があると考えられる.
|