2007 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物に特有に発達したPsbPドメインプロテインファミリーの分子機能の解明
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18770032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊福 健太郎 Kyoto University, 生命科学研究科, 助教 (50359783)
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Keywords | 植物 / 葉緑体 / 分子進化 / 光化学系II / 酸素発生系 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
PsbPドメインプロテインファミリーは、大きくはOxygen-Evolving Complex (OEC)プロテインファミリーに含まれる。本年度はゲノム配列解析から、シロイヌナズナのOECファミリーには光化学系IIのサブユニットであるPsbO、PsbP、PsbQの他に、そのホモログタンパク質としてPsbP-like (PPL)が2つ、PsbP domain (PPD)が6つ、PsbQ-like (PQL)が3つ存在することを明確にした。次に、一般に公開されているマイクロアレイデータをもとに転写パターンのプロファイリングを行い、それらの機能予測を行った。その結果、OECホモログ群は、主に光化学系IIのストレス応答に関係することが示唆されるグループと、乾燥・低温・高温といった環境ストレスでの役割が考えられている循環的電子伝達経路を担うNAD (P) H dehydrogenase (NDH)回路に関わる可能性のあるグループの、2つのグループに大別できることを認めた(石原ら、投稿準備中)。各グループの代表的な転写プロファイルを示したPPL1、及び、PPL2に関してシロイヌナズナの変異株を用いた機能解析を行ったところ、in silico解析の結果と非常によく対応した結果が得られた。即ち、PPL1は強光下で損傷を受けた光化学系IIの修復段階に関与していること、また、PPL2はNDH複合体の活性、および、その蓄積に必須の因子であることを明らかにした。さらに他のPPD,PQLに関しても、シロイヌナズナ変異株の確立を進めた。現在、それら変異株の表現型の解析、及び、各々のタンパク質に対する特異的抗体の作成を行っている。
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