2008 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物に特有に発達したPsbPドメインプロテインファミリーの分子機能の解明
Project/Area Number |
18770032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊福 健太郎 Kyoto University, 生命科学研究科, 助教 (50359783)
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Keywords | 植物 / 葉緑体 / 分子進化 / 光化学系II / 酸素発生系 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
シロイヌナズナのPsbPドメインプロテインファミリーは、光化学系II(PSII)のサブユニットであるPsbPタンパク質の他に、そのホモログタンパク質としてPsbP-like(PPL)タンパク質が2つ、PsbP domain(PPD)タンパク質が6つ存在する。これまでにそれらをコードする遺伝子の転写パターンのプロファイリングにもとに、シロイヌナズナ遺伝子欠損変異体を用いて機能解析を進めてきた。その結果、PsbPドメインプロテインファミリーには、主にPSIIのストレス応答に関係するものと、循環的電子伝達経路を担うNAD(P)H dehydrogenase (NDH)回路に関わるものがあることを報告した。 本年度は特に、強光下で損傷を受けたPSIIの修復段階に関与するPPL1タンパク質について、特異的抗体を用いた生化学的解析を行った。その結果、PPL1は修復過程にあるPSII中間体が存在すると考えられているストロマチラコイドに局在すること、また、スクロース密度勾配遠心や架橋剤を用いた電気泳動などの解析から、PPL1はPSII反応中心D1タンパク質を含む何らかの複合体と結合することを示唆した。さらにPPL1の蓄積は強光条件、もしくは光阻害を受けやすい変異体において顕著に増加することを認めた。以上の結果から、PPL1タンパク質は強光ストレス条件下でPSII光阻害が亢進する際に、修復過程にあるPSII中間体を安定化する役割を持つことが考えられた。
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