2006 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物のトランスゴルジ網におけるタンパク質選別機構の解明
Project/Area Number |
18770044
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
植村 知博 独立行政法人理化学研究所, 中野生体膜研究室, 基礎科学特別研究員 (90415092)
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Keywords | 小胞輸送 / オルガネラ / TGN / SNARE / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
高等植物の"ポストゴルジ・ネットワーク"は、トランスゴルジ網(TGN)・エンドソーム・液胞・細胞膜などのゴルジ体以降のオルガネラ間がメンブレントラフィックによって結ばれた、高度に発達したタンパク質輸送網であり、形態形成や病原菌抵抗性などの高次生命現象において重要な役割を果たしている。TGNは、小胞体からゴルジ体へと輸送されたタンパク質が、液胞・細胞膜等の最終目的地別に選別・輸送される際の分岐点となる重要なオルガネラである。しかし、高等植物においてはTGNの定義すら未だ曖昧であり、動物・酵母においてTGNに局在するSNARE分子のオーソログ、AtTlg2a/Syp41が局在するオルガネラを便宜的にTGNと呼んでいるものの、その構造・機能は全く明らかにされていない。本研究では、高等植物のTGNの構造・機能・動態を解明し、高次生命現象においてTGNがどのような役割を果たしているかについて明らかにすることを目的とする。 本年度はライブイメージングによるTGNダイナミクスの解析を行った。具体的には、AtTlg2a/Syp41をTGNマーカーとして、GFP-AtTlg2a/Syp41融合タンパク質を発現する形質転換体を作成し、共焦点レーザー顕微鏡下で観察を行った。その結果、TGNはドット状のオルガネラであることが明らかとなった。これらAtTlg2a/Syp41が局在するドット状のTGNは、細胞内輸送経路の阻害剤であるBrefeldin A(BFA)処理に対してトランスゴルジ・エンドソーム同様に凝集体を形成したのに対して、PI3キナーゼの阻害剤で、エンドソームを肥大させるWortmannin(Wm)の処理では、TGNには変化は観察されなかった。また、これらのドット状の構造は、エンドサイトーシスのトレサーであるFM4-64によって染色された。以上の結果から、高等植物のTGNはBFAに対しては感受性を、Wm対しては非感受性を持ったオルガネラであり、生合成経路だけではなエンドサイトーシス経路でも機能していることが示唆された。
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