2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドラの生体制御に関与するペプチド性シグナル分子とその受容体の網羅的解析
Project/Area Number |
18770054
|
Research Institution | Suntory Institute for Bioorganic Research |
Principal Investigator |
高橋 俊雄 Suntory Institute for Bioorganic Research, 研究員 (20390792)
|
Keywords | 生体分子 / 生理活性 / 発生・分化 / 進化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒドラの生体制御に関わるペプチド分子とその受容体(Gタンパク質共役型受容体;GPCR)を同時に同定することにある。これまでにヒドラESTプロジェクトから約40種のGPCR遺伝子の全長cDNAを調整した。そのうちの9種について、これまで同定した神経ペプチド(Takahashi, et. al.2006)に対する反応を細胞培養系及びアフリカツメガエル卵母細胞を用いて調べたが同定に至らなかった。ヒドラペプチドプロジェクトにより、新たに新規神経ペプチド2種(FRamides)を同定し、その機能を解析した(Hayakawa, et. al.2007)。その結果、FRamide-1は上皮ヒドラの胴体部の内胚葉上皮筋を収縮させ、胴体を伸ばす効果を示した。一方、FRamide-2は外胚葉上皮筋を収縮させ、胴体を縮める効果を示した。同一遺伝子上にコードされている神経ペプチドが相反する機能を持つ例はこれが初めてである。この2種の神経ペプチドに対する受容体を現在同定中である。ヒドラESTデータベース上からオーファンGPCR遺伝子を抽出する過程で、アセチルコリンに対するムスカリン性アセチルコリン受容体を3種同定した。この結果は、刺胞動物における受容体とそのリガンド同定の初めての例であるということだけでなく、ヒドラにアセチルコリンが存在し、"ヒドラには古典的伝達物質のアセチルコリンは存在しない"というこれまでの定説を覆す新たな知見である。これら3種のうちの1種が、免疫組織化学的手法により刺胞細胞前駆体に局在していることを見出した。現在、この受容体の機能解析のために、トランスジェニックヒドラを作成中である。
|
Research Products
(6 results)