2006 Fiscal Year Annual Research Report
菌根菌パートナーに対する菌寄生植物の特異性の起源と進化過程の解明
Project/Area Number |
18770059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 潤 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (80272011)
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Keywords | 菌寄生植物 / ラン科 / 外生菌根菌 / 寄生 / 分子同定 / ラン菌 |
Research Abstract |
菌寄生植物(腐生植物)は、生存に必要な全ての炭素源を菌類からの供給でまかなう、菌類に寄生している状態の生活様式をもつ従属栄養植物群である。菌寄生植物の進化は菌類とのパートナーシップの変化をともなっていることが指摘されている。本研究ではラン科植物を対象に、これまでの研究でさまざまな菌を菌根菌として取り込むことが明らかになったキンラン属のササバギンランを用いて、ラン科植物がラン菌から樹木の外生菌根菌にパートナーを変えること、さらに外生菌根菌の中でもさまざまな菌の中から特定の菌類を主要なパートナーとするようになった過程に、どのような植物側のメリット、具体的には炭素源摂取上の有利点があったのかを明らかにすることを目的としている。自生しているササバギンラン各個体から根を採集し、共生菌の単離培養と根からの全DNA単離を行った。培養した菌類については、核DNA上のリボソームRNA遺伝子のITS領域の塩基配列を用い、根の全DNAについてはミトコンドリアDNA上のrRNA大サブユニット遺伝子の部分塩基配列を用いて、それぞれ分子同定を行った。この同定結果を、ササバギンランの自生株近傍の土壌および自生地の林を構成する優占樹種の根から得られた菌類の塩基配列と比較した。その結果、ラン菌以外の菌(主に外生菌根菌)については、自生株周辺の菌の優先度に対応した菌根菌の感染状況になっていることが明らかになった。ラン菌の感染と外生菌根菌の優先度の間には負の相関があるように見え、外生菌根菌の感染が成立しなかった株は、ラン菌に依存して生育するのではないかと考えられる。
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Research Products
(2 results)