2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18770061
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂口 美亜子 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 研究員 (50400651)
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Keywords | 分子系統 / 原生生物 / 太陽虫 / 最尤法 / 分子進化 |
Research Abstract |
有中心粒太陽虫の一種Raphidiophrys contractilis5を用いて、他の真核生物グループとの系統関係を明らかにし、真核生物における有中心粒太陽虫の系統的位置を解明することを目的として、分子系統解析を行うために新たな遺伝子配列(elongation factor 2, heat shock protein 70 and 90)を決定し、6〜7遺伝子を用いた連結分子データセットを作成した。ML法による分子系統解析を行ったところ、concatenate model及びseparate modelのいずれのモデルの解析結果から、有中心粒太陽虫の系統関係は不明なままであり、真核生物における系統的位置を決定することはできなかった。これは、現時点では分子系統解析に用いる分子マーカーの数や生物種数が少ないため、作成したデータセットが真核生物グループの系統関係を解明するに足りうる解像度に至っていないということを意味している。そこで少なくとも分子数を増やすために、作製したR.contractilisのcDNAライブラリから新たな遺伝子を得ることを検討している。これらの研究結果は、昨年8月の国際学会(ISEP)及び国内の進化学会、今年3月の藻類学会にて発表された。 また、同じくR.contractilisのEFL(elongation factor 1α-like)遺伝子の配列を決定し、真核生物全体に点在するこのEFL遺伝子との関係について解析を開始した。これは、有中心粒太陽虫の系統的位置の解明だけでなく、真核全体のEFLとEF1α遺伝子の分布と進化という観点からも興味深い内容である。
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