2006 Fiscal Year Annual Research Report
アオキ種内の2倍体集団と4倍体集団における遺伝子交流
Project/Area Number |
18770062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東馬 哲雄 (大井 哲雄) 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (10376527)
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Keywords | アオキ / 染色体倍数化 / 遺伝子交流 / DNA多型 / 系統間交雑 / 倍数体間交雑 / 種内多様性 / 進化 |
Research Abstract |
本研究では、植物種内における染色体倍数化は必ずしも種分化を促進するのではなく、異なる倍数レベル間での遺伝子交流を通して、種としての遺伝的多様性を高める役割を担っているという仮説をもとに、常緑低木種アオキの2倍体・4倍体の交雑帯に注目し(1)側所的に分布する同系統の2倍体集団から4倍体集団への遺伝子流動、(2)分布域を接する異なる系統の4倍体集団間での遺伝子交流、(3)4倍体集団から2倍体集団への遺伝子流動、を検証することを目的とした。本年度は以下の項目について研究を進めた。 1、遺伝学的解析の対象集団として四国地方8集団・中国地方10集団・九州2集団で野外調査を行い、各集団ではランダムサンプリングにより15-20個体をマーキングし、性の判定、枝採取を行い、植物園で挿木栽培を行い、倍数性解析・葉緑体DNA解析を進めた。 2、倍数性レベルでは概ね各集団は単一サイトタイプからなっており混生集団は見つからなかったが、唯一、磐窟渓集団では2倍体集団内に3倍体(雄:不稔花粉形成)が1個体見つかった。倍数レベルの分布境界は予想通りの位置にあり、現在解析集団では10-20kmの距離まで迫っている。来年度は解析集団を追加し、この間を詰める予定である。 3、葉緑体DNAタイプを考慮すると、4倍体分布域内の集団において系統1と系統2が混生している集団が四国地方の2集団・中国地方の1集団で見つかり、4倍体レベルでは異なる系統間で遺伝子交流が生じている可能性が示唆された。 4、核DNA解析では予備実験を行い、AFLP解析では制限酵素とプライマーの組み合わせをEco-ACGT/Mse-CAG、Eco-ACGT/Mse-CTA、Eco-ACT/Mse-CAAGとすることなった他、GapC遺伝子のcDNA配列にも有効な情報があることがわかり、来年度解析を進める予定である。
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