2006 Fiscal Year Annual Research Report
深海性化学合成生物群集に生息する軟体動物の多様性の解明
Project/Area Number |
18770063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (70313195)
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Keywords | 多様性 / 分類 / 軟体動物 / 化学合成生物群集 |
Research Abstract |
深海の化学合成生物群集に生息する軟体動物の系統分類学的研究を行った。(1)沖縄トラフに分布するBathyacmaea secundaを解剖し、他のカサガイ類と動物体の構造を比較することにより、系統上の位置を議論した。(2)沖縄トラフ南部から新たなBathyacmaeaの新種が発見された。新種記載に必要な形態形質を明らかにした。(3)Bathyacmaeaと同様に白い笠型の殻を持つPyropelta属の新種記載を行った。沖縄トラフの鳩間海丘水深1500m付近、第四与那国海丘水深1300m付近から発見された1新種の殻の微細構造、歯舌、軟体部、特に生殖器官の構造を明らかにした。本新種は薄く積み重なった殻層を持ち、貝殻筋付着部を微小管が貫通する点に特徴がある。(4)南太平洋海域のラウ海盆水深1800m付近とケルマディック海嶺水深1300m付近から採集された笠型貝類の分類学的検討を行った結果、カサガイ目エンスイカサガイ科のBathyacmaea属の3新種、古腹足目ペルトスピラ科の3新種が認められた。ペルトスピラ科の3種については新属を提唱する予定である。(5)メキシコ沖の東太平洋海嶺水深2000m付近から採集されたEulepetopsis vitreaの解剖学的研究を行った。ネオレペトプシス科はカサガイ目の中での位置づけが定まっていないグループであるため、様々な解剖形質の形質状態を明らかにし、カサガイ類の上位分類レベルでの比較を行った。かつては、独立の亜目に位置づけられていたが、シロガサガイ科およびエンスイカサガイ科に類似する形質が発見された。一方、ツタノハガイ上科との類縁性は否定される。今後、深海に生息する未研究の属との比較を行い、系統関係を議論する必要がある。
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Research Products
(5 results)