2006 Fiscal Year Annual Research Report
集団遺伝学的解析による高地適応性ソバ属植物のフラボノイド合成遺伝子の進化
Project/Area Number |
18770068
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山根 京子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (00405359)
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Keywords | ダッタンソバ / 適応進化 / フラボノイド / 集団遺伝学 / シャクチリソバ / 種分化 |
Research Abstract |
本研究は、野生ダッタンソバ(Fagopyrum tataticum)の種分化の分子機構を解明し、高緯度、高地への適応とフラボノイド遺伝子の進化の関係を明らかにすることを目的としている。フラボノイド合成酵素遺伝子のDNA多型に注目し、集団遺伝学的手法を用いて野生ダッタンソバとシャクチリソバ(F.cymosum)各数十系統の種内および種間における遺伝的変異のパターンを調べる。集団内の多型性解析を試みるために、今年度はまず、自然集団から収集したダッタンソバおよびシャクチリソバの一集団あたり二十個体以上のDNA抽出を行った。さらに、11月には、共同研究実施機関である、中国云南省昆明植物研究所を訪問し、今後の研究計画について管教授と協議を行った。ソバ属の標本調査も行ったが、ダッタンソバに遺伝的に最も近縁な二倍体シャクチリソバ(syn.F.pilus)は確認できなかった。分子実験に関しては、フラボノイド合成遺伝子はソバ属で初めての同定となる。GenBankデータベースから網羅的に塩基配列データを収集し、アミノ酸比較と分子系統解析により現在ソバ属のフラボノイド合成遺伝子の系統学的位置付けを行った。また、各酵素遺伝子のプロモーターを含む領域のクローニングを試みているが、ダッタンソバではカルコン合成酵素遺伝子は二遺伝子座以上存在することがわかった。次年度は、サザンハイブリダイゼーションによってコピー数を推定し、各遺伝子座で塩基配列をよみすすめ、さらに詳細な比較解析を行う予定である。
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