2007 Fiscal Year Annual Research Report
裸子植物と被子植物の胚珠構造の比較に基づく被子植物の起源に関する研究
Project/Area Number |
18770072
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山田 敏弘 Kanazawa University, 自然科学研究科, 講師 (70392537)
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Keywords | 胚珠 / 内珠皮 / 外珠皮 / 珠心 / AINTEGUMENTA / グネツム / 原始的被子植物 / トリメニア科 |
Research Abstract |
2006年度までに得られたグネツム胚珠でのAINTEGUMENTA(ANT)相同遺伝子の発現様式に関する議論を深めるため,栄養シュートや他の器官でのANT相同遺伝子の発現をRT-PCRおよびin situ hybridization法により観察した.その結果,ANT相同遺伝子は内珠皮,胞子葉での発現に加えて,栄養葉の分裂を盛んに行う細胞群で強い発現が観察されたが,シュート頂での発現は観察されなかった.このことは,ANT相同遺伝子の共通機能は側生器官の細胞増殖の制御である」とするこれまでの仮説と合致し,昨年度までに得られた「胚珠軸における側生器官の癒合仮説」を支持するものであった.今年度得た結果と昨年度までに得た結果を併せて,学術誌に投稿した(印刷中). また,原始的被子植物の1つであるトリメニア科の種子化石を白亜紀前期め地層から発見した.この種子は珠孔とへそが隣接した形態を持つことから,胚珠は,倒生で幌型の外珠皮を持っていたこと推定された.この結果は「被子植物り胚珠はもともと倒生であり,外珠皮は左右対称な器官である」とする仮説を支持した.また,この種子は発達の悪い周乳と良く発達する内乳を併せ持っていた.現生トリメニア科は良く発達した周乳を持ち,化石種子は有周乳種子への移行段階にあると考えられた.このことは被子植物の初期段階から内乳が獲得されていたことを示す重要な発見であり,裸子植物型珠心から被子植物の珠心の進化において,急激に雌性配偶体の縮小が起きた可能性を示唆した(日本植物分類学会第7回大会,東京,2008年3月,にて発表;投稿中).
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Research Products
(2 results)