2008 Fiscal Year Annual Research Report
裸子植物と被子植物の胚珠構造の比較に基づく被子植物の起源に関する研究
Project/Area Number |
18770072
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山田 敏弘 Kanazawa University, 自然システム学系, 講師 (70392537)
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Keywords | 外珠皮 / 胚珠 / 種子 / 内乳 / トリメニア / KANADI / グネツム / 内珠皮 |
Research Abstract |
北海道三笠市に分布する下部白亜系(アルビアン)日陰ノ沢層から最古のトリメニア科種子化石を報告し, Stopesia alveolataと命名した.この種子は, 珠孔-へそ複合体を持つことから, 幌型の外珠皮原基を持つ胚珠から形成されたと考えられる.これまで私たちは, 現生被子植物の基部で分岐した植物が幌型(=左右対称)の外珠皮原基を持つことを明らかにしてきた. また, 左右対称な原基は葉に特徴的であることから, 外珠皮は相同器官であるとする仮説を提唱した. トリメニア科は最も基部で分岐した被子植物の1つであり, 今回記載した化石により, 外珠皮が葉と相同であるとする仮説が古植物学的な証拠によってさらに支持された. また, 化石種子はよく発達した内乳とあまり発達しない周乳を持つ. この特徴は現生トリメニア科種子がよく発達する周乳とあまり発達しない内乳を持つこととは大きく異なり, 周乳の発達が派生的な特徴であることを示唆する. すなわち, 初期の被子植物は既に発達した内乳を完成させていた可能性が高く, 有内乳性はう今後祖先裸子植物を探索する際の有力な手掛かりとなるだろう. また, 裸子植物のグネツム(Gnetum parvifolium)から, KANADI遺伝子の1つであるKANADI1オーソログを単離した. この遺伝子は胚珠のmRNAを基に作成したcDNAから単離されたことから, 胚珠で発現している可能性が高く, 現在in situ hybridizationによる発現解析を進めている.
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Research Products
(4 results)