2008 Fiscal Year Annual Research Report
鮮新世から更新世に日本から絶滅した甲虫類に関する研究
Project/Area Number |
18770074
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
初宿 成彦 Osaka Museum of Natural History, 学芸課, 学芸員 (80260347)
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Keywords | 甲虫 / 化石 / 最終氷期 / 絶滅 / ハンミョウモドキの一種 / アカガネオサムシ / 泥炭層 / ロシア極東 |
Research Abstract |
1. 北海道幌延町・最終氷期末期泥炭層について (1)上記について、野外調査を行った。当時はもっとも寒冷だった最盛期は過ぎているものの、依然として寒冷な状態が残っていたことが、すでに花粉分析により明らかになっている。現地において、およそ50点の甲虫化石が産出した。サンプルを持ち帰った。 (2)室内において、ケロシン浮遊選別法によりサンプルを処理し、さらに150点の昆虫・ダニなどの化石を抽出した。 (3)これらの同定作業を行った。国内に同一種が分布するカラフトヒメヒョウタンゴミムシClivina fossor、マグソコガネAphodius rectus, スジヒメガムシHydrobius pauper、ヒラタネクイハムシDonacia splendensについて、産出を確認できたが、該当種が国内に存在しないものもあった。 (4)これを受け、ロシア・ウラジオストク市のロシア科学アカデミー極東支部・生物学土壌学研究所において、化石標本の同定作業を行った。ハンミョウモドキの一種Elaphrus lapponicus、ゾウムシの一種Trichalophus maecklini、ゾウムシの一種Trichalophus sachalinensisがさらに同定できた。これらはいずれも、現在のサハリン、ハバロフスク、マガダン、カムチャツカなどに分布する種である。かつては北海道に分布していたものの、気温の上昇により、現在では絶滅した種であることが確認できた。 (5)オサムシ科、ゲンゴロウ科、ハネカクシ科については、ひきつづき当該分類群の分類研究者らの協力を得ながら、今後、同定作業を進める。 2. 滋賀県彦根市・最終氷期最盛期泥炭層について 現地で調査を行ったところ、アカガネオサムシCarabus granulatusが産出した。本種は現在の新潟県・神奈川県以東に分布するが、最終氷期には西日本にも分布していたことが明らかとなった。
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