2009 Fiscal Year Annual Research Report
雌しべが動いて性が変わる:フレキシスタイリーの起源と進化に関する研究
Project/Area Number |
18770075
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Research Institution | The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo |
Principal Investigator |
高野 温子 The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo, 兵庫県立人と自然の博物館, 主任研究員 (20344385)
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Keywords | ショウガ科 / flexistyly / 繁殖様式 |
Research Abstract |
平成21年9月15日-9月18日に、昨年調査したマレーシア・サバ州のクロッカー山脈にあるフレキシスタイリーを示さない集団(=非フレキシ集団)で、再度開花個体に訪花する送粉者の観察を行った。今回集団中で開花個体を4個体発見したが、みなフレキシスタイリーを示し、1個体はanaflexistylous(=雌性先熟花)で3個体はcataflexistylous(=雄性先熟花)であった。これらの個体は昨年観察を行った非フレキシ個体とは異なる個体であり、今回の調査時には非フレキシ個体は開花していなかった。つまり非フレキシ集団には、実際にはフレキシスタイリーを示す個体と示さない個体が混在しているということが明らかになった。念のため集団中に存在する非フレキシ個体とフレキシ個体に外部形態(花の各器官のサイズや葉の大きさ等)・遺伝的(核遺伝子のITS領域)な違いがあるかを比較したが、そのような差異はなかった。開花していたフレキシ個体の送粉者の観察を行ったが、訪花した主な動物は、平成20年11月に非フレキシ個体で観察したのと同じコシブトハナバチの一種(Amegilla calcerifera)、ハリナシバチの一種(Tetragonilla collina)が35回、クマバチの一種(Xylocopa caerulea)であった。同一集団でフレキシ個体と非フレキシ個体が観察されたことから、フレキシスタイリーを示すか示さないかは、今のところ当初予測していたような環境要因によるものではなく、個体による違いと考えざるを得ない。ただ、これまでの調査で非フレキシ個体が他集団で発見された例はなく、この集団には少なくとも複数の非フレキシ個体が存在することから、この集団でなぜ非フレキシ個体が出現して維持されているのかについては、今後の興味深い研究課題といえる。
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