2006 Fiscal Year Annual Research Report
脂質トランスポーターを介した脂質恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
18770107
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松尾 道憲 京都大学, 農学研究科, 助手 (00335308)
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Keywords | コレステロール / 脂質 / ABCタンパク質 |
Research Abstract |
コレステロールは生体内で、ステロイドホルモンの前駆体として、膜脂質の構成成分として重要な働きをするが、過剰のコレステロールは高脂血症を引き起こす。脂質トランスポーターが、生体内の脂質恒常性維持に重要な役割を果たすことが分かりつつある。それらが脂質を基質として輸送するのか、あるいは細胞膜環境を変えることで間接的に脂質輸送に関与するかなど、分子機構は明らかではない。脂質トランスポーターの輸送基質と輸送機構を解析することで、脂質恒常性維持機構を明らかにすることを目的として実験を行った。 脂質トランスポーターABCG1がコレステロール、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンをHDLに排出することで、末梢細胞の過剰のコレステロール除去に働くことを示した。コレステロールは細胞膜中でスフィンゴミエリンとともにラフトと呼ばれる膜ドメインを形成することから、スフィンゴミエリンとコレステロールの排出が共役する可能性が考えられた。そこで、スフィンゴミエリン合成に必須なCERTに変異をもち細胞内スフィンゴミエリン量が低下したCHO-K1細胞由来のLY-A株とその機能回復株LY-A/CERT株に一過的にABCG1を発現させ、HDLへのコレステロール排出を測定した。LY-A株においてコレステロールとスフィンゴミエリンの排出がLY-A/CERT株に比べ著しく低下した。一方、CHO-K1細胞にCERTを過剰発現させると細胞内スフィンゴミエリン量が増加し、ABCG1によるHDLへのコレステロールとスフィンゴミエリンの排出が有意に増加した。これらのことから、ABCG1を介したコレステロール排出はスフィンゴミエリン排出に依存することが分かった。
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Research Products
(2 results)