2006 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス応答におけるタンパク質リン酸化酵素PKB/Aktの役割の解析
Project/Area Number |
18770110
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松崎 秀紀 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (80335463)
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Keywords | シグナル伝達 / タンパク質リン酸化酵素 / チロシンリン酸化 |
Research Abstract |
タンパク質リン酸化酵素PKB(別名Akt)は細胞増殖因子のシグナル伝達分子として増殖の促進やアポトーシスの抑制に貢献することが知られている。一方、申請者は酸化ストレスによりPKBが活性化とともにチロシンリン酸化を受けることを見出している。PKBチロシンリン酸化反応は細胞増殖因子刺激では誘導されないことから、酸化ストレスに特異的な応答であると考えられる。従って、酸化ストレス応答ではPKBはチロシンリン酸化を受けることにより、細胞増殖因子とは異なるシグナル伝達を誘導する可能性が高い。そこで本研究では、チロシンリン酸化によるPKBの新たなシグナリング機構を明らかにすることを目的として、以下の解析を行った。まず、PKBに含まれるチロシン残基をそれぞれフェニルアラニンに置換した変異体発現プラスミドを作製し、PKBのチロシンリン酸化部位の検討を行った。その結果、野生型PKBと比べTyr272、Tyr315、Tyr326、Tyr417の変異体ではチロシンリン酸化がわずかに減少したことから、PKBは酸化ストレスによりこれらのチロシン残基のリン酸化を受ける可能性が示された。 今後、酸化ストレス刺激を加えた細胞からPKBを精製し、質量分析によりリン酸化部位を決定するとともに、レトロウィルスベクターを用いてリン酸化部位の変異体PKB発現細胞を樹立し、酸化ストレス応答におけるPKBチロシンリン酸化の役割を詳細に解析する予定である。
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