2006 Fiscal Year Annual Research Report
ATP合成酵素のεサブユニットへのATP結合と活性調節
Project/Area Number |
18770118
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
山田 康之 立教大学, 理学部, 講師 (80386507)
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Keywords | 制御 / 調節 / 内在性阻害因子 / 回転分子モーター / ヌクレオチド結合 |
Research Abstract |
これまでATP合成酵素のεサブユニットへのATP結合は、単離したεサブユニットのみで観察されてきた。活性調節と関係があるならば、ATP合成酵素複合体を形成した状態でもεサブユニットへのATP結合が起こるはずである。 そこで本年度発表の論文ではATP合成酵素複合体中にあるεサブユニットへのATP結合を検討した。ATP合成酵素複合体には、εサブユニットの他に、α、βサブユニット上に合計6カ所のATP結合部位が存在するため、ATP合成酵素複合体中のεサブユニットへのATP結合を直接観察する事は困難である。ここでは、εサブユニットがArp合成酵素複合体を形成する際に主に相互作用する、γサブユニットとのγεサブユニット部分複合体を調製し、そのATP結合をゲルろ過HPLCにより検討した。その結果、γεサブユニット部分複合体はATP結合能を持ち、ATP合成酵素複合体中でもεサブユニットがATP結合能を持つ事が強く示唆された。 また、様々な変異体εサブユニットのArp結合能を定量的に評価した。ATP結合能の変化した変異体εサブユニットによるα_3β_3γε部分複合体のArPase活性調節についても調べた。これらの実験から、εサブユニットへのATP結合がATP合成酵素のATPase活性調節と関係がある事を示す結果を得ており、現在さらに詳細な解析を行っている。 この他、εサブユニットへのATP結合がATP合成活性に与える影響を評価するために、ATP結合能の変化したεサブユニットを含むATP合成酵素変異体の作成なども行った。
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