2008 Fiscal Year Annual Research Report
励起生体分子の動的過程 : 電子理論からのアプローチ
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18770130
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 淳也 Kyoto University, 工学研究科, 講師 (30322168)
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Keywords | QM / MM法 / SAC-CI法 / 生体分子 / 光化学 / 励起状態 / 光合成反応中心 / レチナールたんぱく質 / 蛍ルシフェラーゼ |
Research Abstract |
生体中には光合成反応中心の様に複数の色素を含んだ機能性蛋白質が多く見られる。これらの系の励起・電子移動過程のポテンシャル面を研究するために、複数のQM領域を取り扱うことができるようにQM/MM法を拡張した。 個々のQM部分についてのQM/MM計算を行い、エネルギー勾配を計算する。これにより特に大規模分子、精度の高い理論、励起状態理論などを用いた場合には計算時間を大きく削減できることが分かった。また、このような取り扱いの適用範囲について検討した。 蛍ルシフェリンは発光に伴い分子内の電荷分布が変化するため、蛋白質の静電的環境を反映し、発光色を変化させる。解析の結果、ルシフェリン結合サイトにおいて、直接相互作用するアミノ酸残基のみならず、7A程度離れた、Glu344, Arg223, Asp422などの電荷を持った側鎖が0.6-0.9eV程度の青方シフト、Lys529が0.8eV程度の赤方シフトを与えていることが明らかになった。そこで、青方シフトを与えているアミノ酸残基Glu344, Arg223, Asp422を中性のアラニンに置換して、発光色のシミュレーションを行った(Figure5)。Arg218, His245はルシフェリンに直接水素結合するので、活性中心の構造に影響を及ぼす可能性があるので除外して考えた。 その結果、単一のアミノ酸残基のみ変異させた結果は最大で25nm程度の赤方シフトを与えた。Glu344Ala/Arg223Ala/Asp422Alaの3重変異の結果、約50nmの赤方シフトが見積もられ、赤燈色発光が期待される、という結果が得られた。
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Research Products
(15 results)