2008 Fiscal Year Annual Research Report
再構成クロマチンファイバーと核内骨格との相互作用の解析
Project/Area Number |
18770131
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日詰 光治 Kyoto University, 生命科学研究科, 助教 (10378846)
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Keywords | クロマチン |
Research Abstract |
本研究は、間期核における染色体高次構造構築の原理を明らかにすることが目標である。とりわけ、核内骨格構造に着目し、マトリックスやラミナとクロマチンとが相互作用して形成される高次複合体の形成メカニズムを解明することを目指した。昨年度までの研究結果から、クロマチンは核内に安定に"固定"されていること、および、ヒストンテールの過剰なアセチル化がその"固定"からクロマチンを解放することが示唆された。すなわち、高塩溶液による溶解処理後も細胞核内にクロマチンは強固に結合しているが、ヒストンテールの過剰なアセチル化を誘導した細胞核からはクロマチンファイバーが容易に溶出しやすくなった。また、クロマチンファイバーの幅がアセチル化により細くなる様子も検出された。 本年度は、上記のようなヒストンテールがクロマチン高次構造に及ぼす影響を物理化学的に解析するため、過剰アセチル化ヌクレオソームファイバーと、テールを除去したテールレスヌクレオソームファイバーを試験管内再構成し、そのヌクレオソーム間の距離からヌクレオソーム間相互作用の強度を調査した。その結果、通常のヒストンよりもアセチル化ヒストンとテールレスヒストンはヌクレオソーム間相互作用が比較的弱くなっていることが検出された。また、リンカーヒストンH1を加えたことによる30nmファイバー形成においても相違が検出された。すなわち、アセチル化ヒストンはやや細い20nmファイバーを形成し、テールレスヒストンはファイバーを形成しなかった。これらの結果は、ヒストンテールの荷電が直接的にクロマチン高次構造の形成に影響を及ぼすことを示唆している。昨年度の細胞核内クロマチンの観察結果と、本年度の再構成クロマチンの観察結果を総合することで、ヒストンテールの荷電の影響を受けたクロマチンの凝縮/非凝縮が核内でのクロマチンの固定度合/自由度合に影響を及ぼす可能性が考えられる。
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