2006 Fiscal Year Annual Research Report
回転分子モーターF1-ATPaseの活性型-阻害型制御機構
Project/Area Number |
18770139
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
昆 理恵子 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (80392877)
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Keywords | タンパク質 / 1分子計測・操作 / 酵素の作用機作と調節 |
Research Abstract |
本課題の目的は、ATP加水分解酵素であるF1-ATPaseが持つ2つの状態、活性型-阻害型の遷移の機構を明らかにすることである。F1-ATPaseは、3種類7つのサブユニットα3β3γからなり、ATP加水分解の触媒部位はβサブユニット上にあることが明らかにされている。 また、この分子モーターの特徴の一つとして、ATP加水分解活性をもたない休止モードをもつこと(阻害型)が明らかにされている。 本年度は、活性型-阻害型の各々の活性部位のヌクレオチド状態を調べることに主眼を置いた。各々のヌクレオチド状態が明らかになれば、その遷移機構も明らかになると考えたためである。 実験方法:活性部位へのヌクレオチドの結合を蛍光強度の変化でモニターできる変異体を用いた。この変異体(中央大学宗行先生に提供して頂いた)を用い、触媒活性部位に結合しているヌクレオチドの個数をリアルタイムでモニターした。また、これと同じ条件下で、活性型-阻害型の存在比の推移を観察し、ヌクレオチド数の推移と比較した。 結果:活性部位に結合しているヌクレオチドの個数は活性型-阻害型によらず同じである事が明らかになった。 今後は、結合ヌクレオチドの個数だけでなく、種類(ATPであるかADPであるか)を明らかにしていくとともに、触媒活性部位βサブユニット、非触媒活性部位αサブユニットへのヌクレオチドの結合が活性型-阻害型の遷移にどういう影響を与えるかを1分子顕微鏡観察を通して明らかにしていきたい。
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