2006 Fiscal Year Annual Research Report
視床-大脳皮質神経回路における同期的神経発火の機能解析
Project/Area Number |
18770142
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
井上 剛 生理学研究所, 生体情報研究系, 助教 (40370134)
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Keywords | 視床-大脳皮質 / 神経回路 / 同期発火 / フィードフォワード抑制 / シナプス統合 / シナプス配線 |
Research Abstract |
感覚入力(視覚・聴覚・体性感覚)は、一旦視床に集約し、その後大脳皮質へと送られる。視床における神経細胞群(視床リレー細胞)は、同期して発火していることが知られている。この発火の同期性の機能的役割を明らかにするためには、視床からの同期出力が大脳皮質でどのように受け取られるか調べる必要がある。そこで本課題では、視床と大脳皮質が連結したスライスをマウス体性感覚領域において作成し、視床-大脳皮質神経回路の電気生理学的解析を行う。 視床リレー細胞は、大脳皮質4層主要細胞であるregular-spiking cell (RS cell)に直接興奮を与えるだけでなく、皮質4層内のfast-spiking interneuron (FS cell)を介しフィードフォワード抑制入力をRS cellに与えることが知られている。同期発火は複数の視床細胞で生じるものであるから、複数の視床細胞からこれら大脳皮質4層細胞へのシナプス配線図を知ることが重要である。そこで本年度は、大脳皮質4層細胞のトリプルパッチクランプ記録に、複数の視床細胞の単一繊維刺激を組み合わせ、多対多のシナプス配線パターンを調べた。 結果、単一視床繊維はRS cellとFS cellに発散性のシナプス結合を形成していることが明らかになった。定量的に解析すると、RS cellに投射する視床繊維は近接するFS cellに非常に高い確率(97%)で発散性結合を形成していた。この結果は、RS cellへの直接結合と、FS cellを介したフィードフォワード抑制結合は、非常に正確にカップルしていることを意味している。加えて、複数の視床繊維はFS cellの方により強い収束性結合を形成していることも明らかとなった。この結果は、FS cellの方がより多くの視床入力を受けることを意味している。
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