2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規合成ヒストン特異的なアセチル化のDNA修復における役割
Project/Area Number |
18770153
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増本 博司 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助手 (80423151)
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Keywords | 染色体構造 / ヒストン修飾 / 細胞周期 / DNA修復 / DNA複製 / クロマチン構造 / 国際情報交換 / アメリカ:カナダ |
Research Abstract |
「研究目的」 出芽酵母ピストンH3の56番目のリジン(H3 K56)のアセチル化は細胞周期に依存してDNA合成期からG2期まで全ての染色体中のクロマチンに存在し、DNA損傷、特にDNA複製時に生じる二重鎖切断修復に関与していることが示唆されている。本研究ではヒストンH3 K56のアセチル化が関与するDNA損傷修復を推進するクロマチン構造変化の分子機構を解明することを目的とし、まずH3 K56を脱アセチル化するヒストンデアセチラーゼを同定し、細胞周期を通してピストンH3 K56のアセチル化がクロマチン中に存在した場合、細胞にどのような影響を与えるか調べた。 「研究成果」 ピストンH3 K56の脱アセチル化を行なう因子としてNAD+依存性ヒストンデアセチラーゼHst3およびHst4を同定した。hst3 hst4二重欠損株は細胞周期を通じてほぼすべてのクロマチン中のヒストンH3 K56がアセチル化された状態になる。驚いた事にhst3 hst4二重欠損株はDNA損傷を引き起こす薬剤に対して感受性を示したほか、分裂期における染色体分配にも異常をきたした。これらの結果からDNA合成期にDNA損傷修復に必要なクロマチン構造変化を引き起こすのにはクロマチン中のピストンH3 K56がアセチル化だけでなく脱アセチル化されていることも必要であることが示唆された。さらにはDNA修復以外にもヒストンH3 K56の脱アセチル化が染色体分配に必要なことからも、細胞周期に依存してクロマチン中のピストンH3 K56をアセチル化、脱アセチル化を繰り返すことのよって、細胞周期に特異的な染色体構造を維持していると考えられる。(Current Biology Vol.16,p.1280-1289(2006)) 現在、H3 K56のアセチル化に遺伝学的に関与する因子を同定するために、その欠損によってhst3 hst4二重欠損株と合成致死もしくは生育遅延を起こす遺伝子の同定を行ない、現在いくつかの候補遺伝子の解析を行なっている。
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