2006 Fiscal Year Annual Research Report
F-BARドメインタンパクによる細胞膜の形状制御機構
Project/Area Number |
18770165
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 俊樹 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (30313092)
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Keywords | F-BARドメイン / リン脂質 / FBP17 / Fes / Fer / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
1.本年度は当該申請課題の中でも実験材料となる発現コンストラクトの構築を中心に行った。まず、F-BARドメインタンパク質としてSH3ドメインを持つFBP17とCIP4、さらにチロシンキナーゼであるFesとFerのcDNAクローニングを試みた。ヒト脳cDNAを鋳型とするRT-PCRによって上記タンパク質の全長およびF-BARドメインのcDNAを増幅し、pGEXベクターに組み込むことでGST融合タンパク発現コンストラクトを作製した。大腸菌を形質転換しそれぞれのF-BARタンパク質のリコンビナントタンパクを得た。Fes、Ferチロシンキナーゼに関しては、全長タンパク質の発現が認められなかったため、カルボキシル末端側にFLAGタグを付加することでタンパク質分解を防ぐとともに可溶性の上昇を試みたところ、Fesに関しては全長タンパクを得ることに成功した。Ferに関しては、N末GFPタグ、C末FLAGタグを付加した哺乳類細胞発現ベクターに組み込み、COS7細胞内に導入した。抗FLAGタグ抗体アガロースビーズによるアフィニティー精製法により、GFP-Fer-FLAGタンパク質を得ることに成功した。 2.上で得られたF-BARドメインタンパク質を用いてin vitroでの脂質結合アッセイを行った。まず、FBP17に関しては申請者が以前報告している通り、酸性リン脂質であるホスファチジルセリンに特異的に結合することを確認した。CIP4もFBP17と同様の結合特異性を持つことが明らかになった。Fes、Ferについても同様のアッセイを行ったが、アミノ末端側270残基(F-BARドメイン)だけではどのリン脂質に対しても全く結合が認められなかった。さらにカルボキシル末端を含んだ395残基では50%程度の親和性を持つこと、さらにカルボキシル末端を含んだ445残基で完全なリン脂質結合親和性を保持することが明らかとなった。このことは、Fes、Ferチロシンキナーゼにおいてはリン脂質との結合メカニズムがFBP17サブファミリーとは異なっていることを示唆している。さらに、445残基を用いたリン脂質結合アッセイの結果、この領域はホスファチジルセリンだけでなく、一ヶ所以上にリン酸化を受けたイノシトールリン脂質(PIP、PIP2、PIP3)に広く結合能を示すことが明らかとなった。
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