2007 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞形成におけるRANK/TRAF6シグナルの解明及び骨疾患治療への応用
Project/Area Number |
18770169
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合田 仁 The University of Tokyo, 医科学研究所, 助教 (90361617)
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Keywords | シグナル伝達 / 細胞・組織 / 発生・分化 |
Research Abstract |
骨吸収を担う破骨細胞の分化・活性化は、受容体RANK及びそれに結合するアダプター分子TRAF6によって制御されるが、RANK/TRAF6シグナルの分子機構には不明な点が多い。申請者は、昨年度の本研究課題において、TRAF6シグナルの増強を担い、破骨細胞分化誘導に必須であるRANK細胞質領域を発見した。本年度は、この領域の欠損RANK変異体を用いた解析及びこの領域への結合因子の同定を行うことにより、RANKによるTRAF6シグナル増強機構の解明を試み、以下の成果を得た。 RANKのTRAF6シグナル増強領域を欠損させると、刺激初期における転写因子NFκBの活性化には影響がみられないが、野生型RANKで観察される長期にわたるNFκB活性化が消失した。さらに、野生型RANK及び欠損変異体の細胞内での局在を解析したところ、野生型RANKでは刺激後、細胞膜上から細胞内に取り込まれエンドソームに局在するのに対して、欠損変異体ではエンドソームに移行せず細胞膜上に局在したままであった。一方、TRAF6シグナル増強領域に結合する因子を、既知の破骨細胞形成制御因子の中から免疫沈降法により探索したところ、幾つかの結合因子を同定することができた。これらの結果から、RANKのシグナル増強領域は幾つかの結合因子を介してRANKのインターナリゼイションを促進させることで、TRAF6シグナルの増強を担っている可能性が示唆された。このことは、受容体の局在の変化がシグナルめ質を決定することを示しており、破骨細胞形成の分子機構の解明に新たな知見を与えるだけでなく、骨疾患治療における新しい分子標的の候補の発見に繋がると考えられる。
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